久しぶりに勉強会に行ってきた。
土曜日夜と日曜日午前、鍼の勉強会。年に何回も受講していたが、このご時世で行けなくなり、実に久々である。
金曜日、大学時代の友、熊害から連絡があった。
五十肩になってリハビリに通ってるがさっぱり治らん。なんか良い方法はないか?
という内容だった。
何というタイミングの良さ。
明日の夜、東京にいるから都合が合えば治療するぜ。
と返信した。
東京両国。
鍼の神様が祀られる神社で勉強をした。
軽くなった身体で熊害との待ち合わせ場所へ向かった。
両国駅前の支柱に寄りかかる長身痩躯のおじさんがいた。痛めた肩が不自然に前に出ているためか、随分くたびれた印象を受けた。顔色も悪く灰色っぽい。
しかし、くっきり二重瞼に上を向いた長いまつ毛、そのまるで女性を思わせるような目で、周囲を常にギョロギョロと警戒している仕草は、熊害である事を確信するのに充分だった。
「待たせたな」
「お、おう〜、ウヘヘ。」
熊害は左手を挙げた。腕を上げるというより、肩をいからせてから、無理矢理ワキを広げるような挙げ方だった。それでもほとんど挙がってない。
「ウヘヘ、このザマよ。」
「これは思っていたよりヤバイな。ここで全裸になる訳にはいかんから俺のホテルで治療しようではないか。」
刺さない鍼で皮膚をソフトに刺激する。肩甲骨が体幹をきちんとスライドする様に。忘れてしまった動かし方の記憶を呼び起こすように…
テーピングをする。
結構動くようになった。
「うおっ!何だ?こいつ、動くぞ!それに頭が軽い!」
ソフト過ぎて何をされたか分からないだろうが、頭と首の接合部分のつまりが取れる秘孔を突いておいたから、じきに頭痛も良くなるし顔色も良くなるはずだ。
飲みに出かけた。
家族以外では2年ぶりか。
我らが飲むなら、学生時代に戻ってザ・大衆居酒屋でどて焼きでもつまみながらだな。
うんうん、こんな感じこんな感じ。
いいねえ、下町の大衆居酒屋。
熊害の職業は自称ヴァンパイアという事だが、話を聞いているとどうやらコンビニの経営しているようだった。夜間バイトがなかなか定着せず、夜はほとんど自分で出勤しているとの事。
しかし1日の売り上げ40万円の潰れそうな店舗を担当して70万円まで上げたとか、色々活躍しているようだった。一番頑張ったのは掃除だそうだ。
唐突に思い出した。
学生時代、熊害の部屋のトイレからはキノコが生えていたなぁ。それが掃除とは…
東京下町での酒を堪能し、明らかに顔色良くなった熊害と別れた。治療も出来たし良かった良かった。
東京の朝活は素晴らしいですな。見るものいっぱい!