東京で10年くらい一人暮らしをしていた。
必要最低限なものだけしか作らず、安く腹を満たす事のみ考えていた気がする。でもたまに野菜でも食わねばと思い、ほうれん草や小松菜を茹でて、醤油をかけて食った。いつしかこれがおひたしだと思うようになっていた。たまに野菜を食べる程度の私は、よく風邪をひいて身体が弱い人と思われていた。
家族が出来て、炊事当番になってからも、こんな風におひたしを作っていた。子供達にはとても不評だった。
数年前、おひたしの本来の作り方が書いてある本を読む機会があり、恥ずかしながら衝撃を受けた。
醤油をたらした出汁に浸して冷蔵庫でしばらく浸しておく。出汁に浸すから「おひたし」っていうんだ。そのまんまだ。
ああ、おひたしってこんなに美味いものだったんだ…
子供達もおひたしを喜んで食べるようになった。
それから野菜を喜んで食べてもらえるように勉強をした。
例えば青菜炒め。
ホームセンターで1000円くらいの中華鍋を買ったのは昨年の一番良い買い物だった。野菜炒め系の美味さが飛躍的に上がった。ここまで違うならもっと早くに買っておけば良かったな。
煙りがモクモク立ち込めるほどに熱した中華鍋に、油を放ち、20分くらい水を吸わせた青菜を刻んでまずは茎の部分から放りこむ。
ドキっとするくらい大きなジュワー!!!という音。
塩をわずかにふって、葉の部分も。
あまりいじらず1〜2回ひっくり返すのみ。表面のところどころが焦げるくらいであげる。
時間にして1分くらいだろうか。
旨味、水分がギュッとつまった青菜炒めの完成である。わずかな塩だけでとっても美味い。毎回感動する。
我が家は野菜を美味しく食べる事に労力を注ぐ。忙しくとも、ここに時間を割く価値はあると思っている。
肉とか魚を「陽」の食べ物だとすると、野菜は「陰」の食べ物になる。人間は食べ物から出来ているので、陰陽のバランスがとれていると外邪をはねのける力を得られる気がする。西洋医学風にいうと、ウィルスに負けない抵抗力をつけるという感じか。毎日恐ろしいウィルスのニュースを耳にする昨今。手洗い、マスクももちろん大事だと思うが、陰陽のバランスがとれた食事もかなり有効な身を守る手段だと思う。
我が家は過去5年間、病院のお世話になるくらいの風邪を引いた者はいない。骨折した方が2名ほどいたが…
あ、バ◯は風邪ひかないって言葉がありますね。こっちの方が正解かも知れませんが。