小雪が降る夜、少年は落ちてくる瞼を必死に堪えて窓の外を見ていた。
今日はクリスマスイブ。良い子にしていたからサンタさんが来てくれるはずだ。
少年はサンタさんに、「百獣王ゴライオンの超合金ロボット」をお願いした。
良い子にしていたからきっと来るはず…
きっと来る…
きっと…
夢かうつつか。
気づくと朝だった。
少年は急いで階段を駆け下り、クリスマスツリーの下を確認した。
置かれていたプレゼントはゴライオンの超合金ではなく、ゴライオンのノートと鉛筆だった。
サ、サンタさん、ありがとう…!
作り笑いで二階に駆け上がった。
サンタさん、仕事が雑だよ。ゴライオンはゴライオンだけどさ…
いや、もしかしたらお父さんお母さんなのか。生協の値札貼ってあるし。
噂通りサンタさんなんていねぇのかもな。
こうして少年は現実を何となく理解した。
この日を境に少年は、真面目で良い子から真面目そうに見える変態、としての道を歩む事となる。
約40年後。
そんな少年もおじさんとなり家庭を持った。
あの頃の少年のように、サンタさんを信じるか信じないか微妙な年頃の子供がいる。
次女。
「サンタさんに手紙書いたよ!でっかいぬいぐるみをお願いしたんだ!」
長女。
「サンタさん?いるに決まっているじゃないですか。勿論手紙も書きましたよ。うひ、うひひ…」
サンタさんが来てくれるといいですね。
皆さま、素敵なクリスマスを過ごせますように!