あれは数年前のお盆。某温泉に泊まりに行った時の話である。
通された部屋は古いながらも清掃が行き届いた和室だった。
私には霊感など全くないのだが、部屋に入った途端に何だか嫌な気配がした。治療をしていてたまに「魔法みたい」って言われる事があるが、あれは私の腕がいいだけであって霊力ではない。
……すす、すみません、ちょっと言ってみたかっただけです(汗)
話を戻そう。
温泉に入り、ビールを飲んで寝る頃には嫌な気配などすっかり忘れていた。
深夜…
うぐぐ…!やめろ、苦しい!
綺麗なお姉さんに首を絞められて死ぬなら本望だが、お前のようなおっさんに殺されるのは嫌だ…
ゴボゴボ…!
苦しい…!
うーん、うーん…
うーん…
は!夢か…
子供が上に乗って息苦しかったから、変な夢をみたのだな…
午前3時か…
カタカタカタカタ…
観音開きの古い物入れが揺れている。
一気に空気が重くなる。
何?
ガリゴリガリゴリ、ドン、ガリゴリ…
こ、これは明らかにおかしい!
きっと貞子みたいなのが出てくる!
母ちゃんを起こそう!
…いや
こんな風になっていたら困るからやめておこう。
バーン!!
扉が勢いよく開いた。
………。
不気味な静寂。
何もいない…
その後、電気を全てつけ、全身硬直警戒モードで過ごした。
朝日をみて安心した。
起きた母ちゃんに夜の事を話した。
「ああ、聞こえていたよ。ガリゴリガリゴリ、バーン。父ちゃんが夜中にじゃがりこ食って、どこかにぶつかった音で、うるせ〜な〜って思ってた。」
何だかよく分からない出来事でしたが
この一件からお盆は実家以外行かないようになりました。