「せ、先生〜!明日中体連なのに腰をやっちまったあ!」
人間投げ部キャプテンのゴンズ君。
腰を痛めたようだ。
大会シーズンはこういうケースが多い。
激しい練習でボロボロになり、直前に怪我。
頑張って練習してきたのに、こんな風に終わってしまうのは残念だろう。
治療は余計な感情など込めずに淡々とやるものだと思っている。
冷静に判断し、どのくらいで治るのか、安静期間はどのくらいか。
冷静に淡々と。
だが…
この時期は違う。
俺自身、学生時代、拳法大会直前に怪我で涙を飲んだ事がある。
俺が治療家になったのは、そういう学生さん達に涙を飲ませない為でもある。
顔は相変わらず無表情だが内心こんな感じだ。
学生さんも俺も必死。
そして上手くいけば最高の瞬間だ。
難しい症状の場合もある。
でも諦めずに頑張ろうぜ。
努力して夢が叶うかはわからないが、努力が有効な手段の一つである事は確かだって事を知って欲しいんだ。
このシーズンは一年で最も忙しいんだが、最もやりがいがある時期だ。