《バイオレンス治療院の臨床ファイル vol1・肘内障》
「先生、せがれが腕をブランとして動かさんくなりよった。」
以前足首の捻挫で来院されたフグタさんhttp://ameblo.jp/kawashima-seikotuin/entry-12059241611.htmlの息子さんのようだ。
フグタさん、さらに大きくなったな。
このポジション。
肘内障か上腕骨顆上骨折か…
問診が大切だ。
随分ひねくれた面構えだが、母親のフグタさんは確か24歳。
まだ3,4歳というところか。
「タラオ、3歳です〜。肘が痛いです〜。」
3歳なら問診はまだ難しい。
転倒してなったのか、引っ張られてなったのかが重要だ。
フグタさんに聞いてみた。
「…そういえばこんな事があった。あれが原因かも知れんのう。」
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スーパーのお菓子売り場。
タラオが、「進撃の巨人」フィギュア付きの知育玩具を欲しがった。
「うぬにはまだ早い。」
「欲しいです〜!欲しいです〜!」
「……」
「欲しいです〜!欲しいです〜!」
「そんなに欲しいならワシを倒して納得させてみよ!」
次の瞬間、タラオは大きく跳躍し、母親の弱点であるウナジに躍りかかった。
「ほう、迷いがない斬撃だ。スピードも良い。だが…」
「10年早いわ青二才! !」
「ギャーです〜!」
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今の話を聞くと【肘内障】と判断していいようだ。
腕をひっぱられた時に、橈骨から輪状靭帯(青い部分)が亜脱臼するもの。
まだ骨がしっかり出来ていない5歳くらいまでの小児に起こりうる怪我だ。
整復した。
肘内障はすぐに入る事が多い。
俺のコレクション「進撃の巨人フィギュア」の一つを差し出した。
「わ〜、ありがとうです〜!」
タラオ君は痛めた手でフィギュアを取った。
うむ、上手くいったようだ。
進撃の巨人フィギュアを一つ失ったのは残念だったが、まあいいだろう。
フグタさんに
①小児の肘の脆弱性
②腕を引っ張ると再発の危険性が高い事
③たとえ繰り返し再発しても、7歳くらいには骨が成長して抜けなくなるから安心する事
を伝え終了とした。